モーション作成メモ1

 オリジナルモーションはトレスに比べて難しいという意見があります。でも個人的にはどっちもどっちかなと思ってます。

 オリジナルが難しいのは、まず振付を考えること。次に資料なしに細かい動作をどこまでイメージできるかということ。

 トレスが難しいのは、まずトレス元の映像が限定された角度しかないこと。次にトレス元と動きを完全に一致させようとする時に出る無理をどするかということ。

 あとオリジナルモーションはわりとボーンの構造や設定への知識がダイレクトに反映しやすいです。補間曲線や腕IKや多段ボーンみたいな難しそうな話を理解しやすいのはオリジナルの方。(トレスでその辺を駆使するのは上級者向け)

 

 で、今回はモーションを作っていく時のメモです。少し講座っぽいけど、講座にするほどの親切心はないかも。

 

1.ポーズを2つ作って補間する

 動く前のポーズAと動いた後のポーズBを作ります。A→Bの順に並べておくとMMDが勝手に補間してくれます。フレーム間隔は動作によるけど10フレーム前後。再生して遅かったらもっと縮めるし、速かったら間隔を広げます。

 

2.補間曲線を付ける

 ポーズBのキーフレームを全選択してS字補間曲線を付けます。急に動いて急に止まってたのが、滑らかに動き出して滑らかに止まるようになります。よく使う補間曲線は3種類、①S字(加減速) ②ノの字(加速) ③逆ノの字(減速)。S字が標準で後の2つは衝突モーション用。

 

3.縦打ちキーフレームをずらす

 ポーズBのキーフレームが縦に揃っているのをずらします。ずらし方は2通り。①先端のボーンを遅らせる(後ろにずらす) ②先端のボーンを早める(前にずらす)

 ケースバイケースだけど①の方が多いかも? どっちがいいかわからなくても、ずらすだけですべてのボーンが一斉に動き出して止まる違和感は減ります。

 

4.軌道を変える(中間フレームを増やす)

 1~3までの操作だとポーズAからポーズBまでだいたい真っ直ぐの軌道になります。腕を振り回す場合などは中間フレームを打って軌道を膨らませる必要があります。で、これがわりと厄介。

 中間フレームを打ってポーズAとポーズBの間にポーズCを作ると、A→C、C→Bの間がそれぞれ真っ直ぐの軌道になります。つまりA→C→Bの軌道は直線の交わるカクついた軌道になるということ。

 解消する方法は2つ。①さらに中間フレームを打って直線を紛らわす ②2つのボーンの動きの組み合わせで曲線軌道を作る

 理解しやすいのは①。先ほど打ったCフレームの前後に2つフレームC1,C2を空打ちしてCフレームを削除します。A→C1→C2→Bになって台形っぽい軌道になります(いわゆるラジ割)。操作を繰り返してキーフレームを増やしていけばいつかなめらかな軌道になる・・・はず。

 ②は上級者向け、行きつく先は多段ボーンです。多段化しない場合は腕と肩で違う方向に動かして補間曲線を付けることを意識するといいかもしれません。

 

 以上、回転ボーンの話はだいたいここまで。いろいろコツはあるけれど、この4つの応用です。ここから先は動作をよりよく見せるための応用。

 

5.予備動作・反動を付ける

 動作の前後に動作を付け加えるとより自然に見えます。予備動作はAからBとは反対の方向に少しだけ動かした後、Bに動くようにします(A→A1→B)。反動はBフレームの前にB方向に少し動きすぎたモーションを作ってBに戻るようにします。(A→B1→B)

 予備動作・反動のフレーム数はわりとたっぷり目に10フレームくらい取って様子を見てから調整します。10フレームの動くモーションの前後に10フレームずつの予備動作・反動が付く感じ。反動はもう少し短くてもいいかも。

 予備動作は動作を自然にする以外に、これから動くボーンに視聴者の目を集める意味もあります。(予備動作がなく急に動くとリアルでも目が追いつかないことがある)

 

6.なるべく多くのボーンを動かす

 腕を動かす場合でも実際には上半身から下半身のボーンがすべて動いてたりします。なるべくすべてのボーンを動かすようにした方が自然な動作になりやすいです。(ただし軌道の予測と管理は難しくなります。)

 上記のA、Bのように静止していることが多いポーズは指先までなるべく細かくポーズを付けておいた方がいいです。逆に動いている中間フレームは適当でもそんなに目立ちません。

 

7.動きにタメを作る

 動きにタメを作る方法は2つあります。①補間曲線の傾きを調整する ②中間フレームを増やしてタメを作る

 補間曲線のS字を極端な形にすれば動きの加減速を調節できます。中間フレームを増やす方法は予備動作・反動を付ける動きとほぼ同じです。人間の動きが完全に静止することは普通はないのですが、アニメ的な動きを意識するならタメの時点で2,3フレーム完全に止めてしまうのもありだと思います。

 

8.揺らぎを付ける

 ほとんど静止しているポーズの場合、自然にするために揺らぎを付ける必要が出てきます。20~30フレーム前後くらいで似ているけれど微妙に違うポーズを作ってS字補間曲線をかけておきます。自然に見せるためにはさらにそこから1~7の工程が必要になります。

 意識していない動きなので、意識して付けるのは難易度が高いです。重心がなだらかに左右に動いて、左右に傾きすぎたところで少し早めの動きで元に戻ろうとするイメージになるでしょうか。

 

 モーションの基本的な考え方はだいたい以上です。ただし移動ボーン(センター、重心)やIKの扱いについては補間曲線を含めてもう少し別のノウハウが出てくるのでそれはまた別の機会にでも。