PAToonはHAToon2のトゥーンフラットの設定を引き継いでいます。
HAToon2のトゥーンフラットは以下の4枚のテクスチャが使われていますが、
これは一体何をしているのか、という話をまとめておきます。
まず一番基本的な影の色を決めているのがDiffuseMul.pngというテクスチャです。
左側が影の色で、肌色の血色をよくするために赤みのある影を付けています。
このテクスチャを材質に乗算しているのですが、
MMDデフォのトゥーンと違って右側が白ではなく灰色になっていますね。
このまま乗算すると影になってない部分も暗くなってしまいます。
それを調整するのがDiffuseAdd.pngというテクスチャです。
右側がほぼ黒、左側が黒に近い灰色になっていて、これが加算されます。
DiffuseMulで乗算して暗くなった分がこの加算で元より少し明るくなります。
乗算と加算で計算方法が違うのでイコール完全相殺ではありません。
なぜわざわざ乗算で暗くしてから加算で明るくしているのかというと、
全体にメリハリを付けることでトゥーン感をよりくっきりさせてるんですね。
これによってトゥーンフラットでは字の色が元よりも少し明るくなります。
で、次はDiffuseHue.png、この辺から少しややこしくなります。
虹の一部がアルファで抜けたみたいなテクスチャです。
他のテクスチャと違って正方形ではありませんが、
内部処理的には縦に圧縮されて正方形と同じ扱いになります。
このテクスチャはモデルの材質の色相を補正するためのものです。
トゥーン幅になっているので材質の影部分しか色相の補正はされません。
通常の色相と補正テクスチャを比較するとこのようになります。
赤の幅と青の幅が少し広くなっているのが分かるでしょうか。
左の色が右の色に置き換えられます。欠けている部分は補正されません。
この結果、水色の材質の影が青っぽく、黄色の材質の影がオレンジになります。
実はHAToon2は初音ミクが綺麗に見えるように設定されているのですが、
特に水色の髪の毛の影色がこれで綺麗に青みを帯びて見えるのです。
黄色の材質の方はリンレンの髪の毛の影色に影響しますね。
DiffuseMulBySat.pngは水色が左上の方に少し乗っているテクスチャです。
これは材質の影になる部分の色相の彩度が低い部分にこの色を乗算しています。
イメージしやすいように並べるとこんな感じです。
彩度が低くなるとグレースケール(灰色)に見えるようになりますが、
グレースケールに近くなった材質の影に青みを加えることになります。
なんで水色なのかというと、
もともと影の色に赤みのある色を乗算しているのでそれが補正されるんですね。
2つのテクスチャを単純に重ねて乗算すると下の感じになります。
まだ少し青み成分が残ってますね。
初音ミクの場合、服が灰色に近いのですが、
その影が水色っぽくなることでアニメっぽい色合いになります。
HAToon2内の設定はジェネレーターを使わなくても
「#define~」の前に「//」を入れることでオンオフの様子を見ることができます。
トゥーンフラットにはあと2つほどテクスチャが定義されてますが、
初期設定では有効になっていません。
内容はスフィアとスペキュラのトゥーン化です。
以上、HAToon2のトゥーンフラットの説明でした。
ジェネレーターの説明記事にしようかとも思ったのですが、
それはそれでさらに長くなるのでここまで。