第18回MMD杯本選の動画の紹介と感想と

MMD杯の投票が今日までだったみたいです。

私は作りかけの動画で参加できたらいいなあと思いながら間に合わず、、
・・・いつものことです。

さて、個人的に気になった動画を少し紹介したいと思います。
今さらながらというラインナップなんですが、
MMDerの視点で簡単に触れておくのもいいかなと、そんな感じです。


本能字で待ってる!! / kiriko


誰が見てもどこを見ても労力が半端ない超大作。
この動画をだいぶ前から作られていたのは知ってましたがようやく完成です。

実は私が配布してる嘘影用の改変シェーダーを使っていただいたりしていて、
複数モデルを配置する動画でようやく真価を発揮してます。
人物を違うアングルで複数置くとどうしても光源方向が難しくなるんです。
まあ、こういう使い方すると重いんですけどね・・・

30fpsで出力したものを後から24fpsにしているようですが、
速い動きの中での一瞬カットが止まるタメツメが印象的ですね。

今回、最大の敵はニコニコ新仕様の画質だったかなという気がしますが、
これだけの尺に詰め込んでいると旧仕様でもきつかったかもしれません。
(100MBで5分40秒だと3000kbps確保できない)


PREDAWN / VONVE様


こちらも超大作。
一瞬の隙も許さず映像美学が貫かれたアクションです。

実は最初のバイクシーンのカメラを少し手伝ってたりします。
その時に記事も書いてますがIKカメラを全打ちvmdに変換しました。
AE(AfterEffect)と連携したマッチムーブに必要な操作だったのです。

MMD杯なのにAE使うなみたいなよくわからない批判も以前見たことあります。
ただMMDから出力した映像にずれないようにエフェクトを付けないとダメなわけで、
MMEでパーティクル使う方が数段楽()

動画の魅力はどのシーンも構図が決まっているところと思います。
カメラの動きよりもカットに対比や奥行きを付けるのが抜群にうまいんです。
情報量が整理されてるので画質の劣化もほとんど起きてませんね。

ビットレートは多い方がいいけれど人間が扱える情報量は限られてます。
その中でどうやって絞り込んでいくのか、映像美学っていうのはそういうことなのかなと。


realistic mmd / ああああ様


先に続いて画質ということでこの動画。
昨年後半辺りから話題になっていたRay-MMDによる動画です。

Ray-MMDって何?という人も多いと思いますが、MMEのシェーダーの一種です。
ディファードシェーディング(遅延レンダリング)なんて呼ばれる技術だそう。
ポストエフェクトと一体化したシェーダーだと思ってください。

たとえば似たようなシェーダーにExcellentShadowがあります。
ExShadowはポストエフェクトで影を管理して、対応シェーダーに情報を渡してます。
これをライトや陰影や鏡面反射などいろいろなところで行っているというわけです。

最大の強みはオブジェクトの反射や間接照明(疑似的ですが)を扱えること。
あとポストエフェクト重ね掛けと違って情報が統合整理された分だけ綺麗になります。
(水彩画を描くときに塗り重ねるか、絵の具を混ぜて使うかの違いみたいな)

Ray-MMDを使ったらすぐこんな綺麗になるかということはなくて、
実際は材質ごとにシェーダー設定を丁寧に用意していじらないとダメなんですけどね・・・

シェーディングを見せるためにゆったりしたカメラになってますが、
それがさらに画質をよく見せています。
明暗の対比の付け方とか、構図の付け方のうまさもありますね。

ニコニコ新仕様の画質でも見せ方が上手ければこのくらいできるんですよ・・・
新仕様に不満はありますが、評判に踊らされてる人を見るとちょっとなあと思わなくもry


Hamilton - Guns and Ships / caxap様


スケートなどのモーションを作ってる方でもあります。
超絶技巧な足周りのモーションが楽しめる動画。

私も以前アイリッシュダンスみたいなモーションを少し作ったことありますが、
キーフレーム数の密度がとてつもなくなって本当に進まないんです。

その上でさらにここまで滑らかに制御する労力と技術に頭が下がります。
足IK周りについては自分でもちょろちょろツイートしたりしてますが、
まだまだ共有されてないノウハウがあるんじゃないかと思ってます。

足先Exを使っているそうですが、その辺の位置のずれ方もわりとめんどくさいんですよね。
つま先ボーンを足先Exの位置に置くことで解決しているようですが、
ボーン構造からキーフレームの打ち方まで把握してないと管理しきれないと思います。


男子高校生バンドで「レモン」 / コワレミク様


感想が技術的なことに偏って来たので傾向を変えてアイマス動画。
いえ、普通に技術的なレベルの高い動画なんですけど・・・

ボカロ、東方、アイマスと御三家なんでも動画を作って来た方ですが、
今回はアイマスsideMということで女性ジャンル?に進出です!
(実はホモばかりの可能性も否定はできない??)

非常に見せ方のうまい方なのですが、
男子高生の日常風景っぽい描写がすごく自然でそれっぽいんですよね。

実は以前、東方ジャンルで「ミリしら」的な動画を上げられてた時、
「次は女性ジャンルでミリしらやろうかな」的なことを言っておられて、
「ミリしらはともかくぜひ見てみたい!」とリプしたことがあったのですが、
さすがに見送られたという経緯があって・・・(賢明な判断だと思いますw)

見たかったものがようやく見られた!という感慨がw
作り手の性差の問題というのは様々なところに影を落としてジャンルが形成されてます。
でも見たいのは性別そのものではなくて、そこに触れることで出てくる感性なんです。

そうしたことも踏まえて咲ちゃんなんじゃないかなと思ったりします。

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以上、動画5つの紹介と感想でした。

MMD動画のレベルも上がってきていて何の技術革新が起きているのか、
素人目にもMMDer的にも非常に把握しづらくなってきてると思います。
大したことは書けないけれど、自分の関心を書くことでその補助になればなと思います。

紹介したい動画はまだまだあるんですがあまり長くなるのもなんなので。
取り上げられなかったけれどネタやMADなど見せ方は様々ですよね。

最後に、好き勝手に感想を書きましたけれど、個人の感想です()